なぜ肌は冬に乾燥するの?同じ湿度でも季節で空中水分量は7倍違う?!
冬は寒さが厳しいと肌トラブルに悩まされている方が増えます。
実際、極寒のあまり顔が赤くなり、肌が痛くなり、皮膚が薄い目元まわりが悲鳴を上げている、という方のお話を耳にすることも少なくありません。
今回は、寒さによる肌トラブルについて、冬に乾燥するしくみ、肌のバリア機能が冬に低下する理由、お肌の寒さ対策ケア、という内容でお届けします。
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冬に空気が乾燥する理由〜同じ湿度50%でも季節で水分量は7倍違う!?
冬が乾燥しやすい理由をちょっと科学的な視点で具体的な数字も含めて説明します。
少々、難しい言葉ですが「飽和蒸気圧」という原理があります。
私たちが普段、吸っている空気は、気温によって空気に含むことができる水分量が違ってきます。
気温が下がると、空気の中にたくさんの水蒸気を持つことができません。
だから、冬は乾燥しやすくなるのです。
ところで、「冬の湿度50%」と「夏の湿度50%」、湿度の数字は同じですよね。
ですが、この2つは空気中の水分の量が違うってご存知でしたか?
1kgの空気の中に、どれだけの水分があるかを考えてみます。
気温30度の夏場の場合は、湿度100%だと27gの水分量。
1kgの空気中に最大で27gの水を含むことができるわけです。
湿度50%だったら、ちょうど半分、およそ14gの水が含まれています。
しかし、気温0度の冬の場合は、湿度100%でも4gの水分量になってしまい、湿度50%なら、たったの2g程度しかないのです。
上記をまとめると・・・
*夏場の気温30度・湿度50%・・・・空気1kg中の水分量は14g
*冬場の気温0度・湿度50%・・・・空気1kg中の水分量は2g
その差は、なんと7倍です。
同じ湿度でも、冬場は夏場の7倍乾燥しやすいということです。
冬にバリア機能が弱くなる理由
「冬に肌が乾燥する」というのはよく知られていますが、冷え込みが多いとお肌が荒れやすくなる、すなわち肌のバリア機能が弱くなる、ということをご存知ですか?
冬はお肌のバリア機能が弱くなりやすい時期な理由は、主に3つあります。
理由1 空気が乾燥して肌の水分が奪われやすい
空気が乾燥している、すなわち空気中の湿度が低いので、常にお肌の水分が空中に奪われやすい状況です。
気温が下がれば下がるほどその傾向は強くなります。
例えば、乾燥ワカメや、生春巻きで使うライスペーパーを想像していただくとわかりやすいのですが、
乾燥ワカメ(もしくはライスペーパー)はそのままだと手でボロボロと簡単に壊せます。
水に入れて水分を含ませてあげるとちょっと触った程度では壊れたり破れにくくなりますよね。
お肌にも同じようなことが言えます。
肌の水分が奪われ乾燥していると、どうしてもバリア機能が弱くなってしまいます。
理由2 肌の新陳代謝が滞る
気温の低下で皮膚の血流が悪くなり、お肌の「新陳代謝」も滞ります。
お肌の表面はバリア機能が満載ですが、肌の新陳代謝が滞る、すなわち、肌表面の入れ替わりが遅くなり、表面が古いままの状態が長引くと、機能は低下してしまいます。
頑丈そうな鎧や兜も、錆びてボロボロになればあまり役立ちませんよね。それは、お肌も同じなのです。
普段生活しているとわかりませんが、蛇が脱皮するように(全身丸ごと一度にスポッと、ではないのでちょっと違うと言えば違うのですが、、、笑)、私たちのお肌も表面は常に入れ替わり、表面が「腐って錆びたボロボロな鎧」みたいにならないように頑張っているのです。
でも気温が下がるとそのサイクルが遅くなってしまい、腐りはしなくても「ちょっとボロボロな鎧」のような状態になりやすくなってしまいます。(蛇のように冬には冬眠してしまう、という選択肢がないですからね〜)
理由3 皮脂量が低下する
バリア層の1つは、毛穴の奥にある皮脂腺から出てくる「皮脂」という油です。
お肌を有害物から守るには欠かせない皮脂ですが、残念なことに冬場は皮脂の分泌が低下しがちになります。
特に30歳オーバーの女性は皮脂の分泌量がかなり少ない状態です。
お肌が強くて夏場はクリームを使わない方でも、冬には朝晩、皮脂の補充をしなければ乾燥を感じる方も多いはず。
皮脂は体内に有害物質が侵入するのを防ぐ膜であり、かつ、肌表面を柔軟に保ち、簡単にシワが入ったり裂けてしまうのを助けてくれます。
暖房の使用などもあり、冬の乾燥した環境に追いつくだけの十分な皮脂が分泌されにくくなってしまうため、それらの機能が弱まってしまいます。
冬の乾燥対策スキンケア
これらの理由で、どうしても寒さが厳しい年は、乾燥以外の肌トラブルが増えてしまいます。
肌トラブルを防ぐために、お肌のバリア機能を補強するスキンケアが重要になります。
①クリームをつける
これは誰もが真っ先に思いつく乾燥対策ケアではないでしょうか?
上でも述べましたが、皮脂を補充するためにクリームをつけることはとても効果的でシンプルなケアです。
肌を柔らかく保ち、冬に奪われやすくなる肌水分の蒸発も防いでくれます。
革製品にクリームを塗ってケアしてあげるように、お肌にクリームをつけて皮脂を補充してあげましょう。
②マッサージで血行促進
冬に滞る肌の新陳代謝を上げるには、血流アップが一番です。
特に温かいお部屋やお風呂で、お肌をマッサージすると血行がよくなりより効果的です。
マッサージする時にはマッサージクリームやコールドクリームなどを使い、肌表面を摩擦から守ってあげましょう。
使うクリームにビタミンAの成分が入っていると、肌の再生をサポートしてくれます。
ビタミンAは肌の新陳代謝に大事な役割を担っていますが、加齢により体内から肌表面に届きにくくなる成分でもあります。
肌表面から直接補うことで肌表面の再生が促され、新陳代謝が良くなるんです。
③保湿洗顔・コールド洗顔を行う
一番見落としなのはズバリ、「洗顔」です。
肌のバリア機能の要なのに、冬には分泌量が減少してしまう「皮脂」を一番奪いやすい行為だからです。
「じゃあ、洗顔をしなければいいか!」という選択肢がない(完全にないわけではないけですが、、、お顔は毎日洗いたいですよね??)のでクセモノです。
でもご安心を。
ちゃんと、貴重な皮脂を守りながら洗顔する方法があります。
それは、「保湿洗顔」または「コールド洗顔」と呼ばれる、必要な皮脂を守りながら、汚れだけをしっかり落とす洗顔法です。
このサイトの読者さんにはもうお馴染みの洗顔方法かと思われますが、まだご存知ない方のために簡単に説明すると以下のようなステップになります。
キーは、「油汚れをまず油で落とし、その後石けんで洗顔する」という2ステップの洗顔方法です。
ステップ1 ー 油汚れを油で落とす 〜コールドクリームでメイク落とし
「肌の汚れ」は、埃や花粉など、サッと水やブラシなどで落とせるものもありますが、殆どがメイクや古い皮脂などの油分です(埃や花粉なども肌表面の脂分に引っ付いてしまっているのでただ水洗いしただけでも落ちないことが多いでしょう)。
この油汚れは、水だけでは落ちません(油は水と交わらないことは理科の実験でも学びますよね♪)。
ここで一般的によく登場するのが、油と水を混ぜるスーパーパワーを持つ「界面活性剤」を含んだメイク落としや洗顔料を使い、油汚れもそれ以外の汚れも混ぜて一度に全部洗い落としてしまえ〜!という手段です。
が、それをしてしまうと、1ステップで全部洗い落とせて楽ちん、ではあるのですが、上で何回も述べている大事な皮脂も必要以上に持っていかれてしまう傾向にあります。
油汚れは油としか混じり合いません。
油汚れはまず、コールドクリームやワセリンなどの油を使って、丁寧に拭き落としてあげます。
ステップ2 ー 石けんで洗顔する
石けんはさっきも登場した「界面活性剤」というスーパーパワーを持つものの一つですが、油と水を混ぜるパワーの強さレベルでいうと、レベル1〜3くらいの自然界にも普通に存在するレベルのやさしく弱〜いスーパーパワーの持ち主です。
お肌は人間の体を一つにまとめ、外界から守っているスーパー臓器ではあるのですが、生き物であり、粗雑に扱われると簡単に壊れてしまいます。
そんなデリケートな肌を洗うのに使用するには、この程度のパワーレベルで十分であり、ちょうど良いのです。
石けんで、拭ききれなかった汚れなどをやさしく洗い流します。
水の温度は熱すぎずぬるま湯で、肌表面をこすらずに、長々と時間をかけない、なども考慮してくださいね。
ちなみにレベル10(最高値)を持つものは、自然に存在する者では到達できず、人工的に合成生成することで可能になる域になります。
そのレベルになると「合成界面活性剤」という、アイアンマンスーツを着たスーパーパワーの持ち主レベルになり、洗顔するためにこの方達を採用してしまうと、お鍋や車など非有機物を洗浄する分にはいいのですが、肌にはパワーが強すぎて、やられてしまいます。
皮脂は間違いなく根こそぎ持っていかれるだけでなく、肌表面にスーパーパワーの残留物を残していき、じわじわと肌表面を痛めてしまう、というような2次災害的な効果をもたらすようなことになってしまうこともあるので気をつけたいです。
界面活性剤と合成界面活性剤について説明した記事はこちら → 基礎講座5:界面活性剤の危険度の見分け方〜合成界面活性剤と石けんについて
ステップ3 ー 肌を弱酸性に戻してあげる
厳密に言えば、「洗顔」ステップではないのですが、「石けん」を使った後は、お肌のp Hバランスを整えてあげる必要があります。
「石けん」はアルカリ性のもので、石けんを使用すると肌表面はどうしてもアルカリ性に傾いてしまいます。
(石けんで洗うと肌表面や髪がキシキシする感じがするのはそのせいでもあります)
健康な肌は肌表面を弱酸性に保ち、バリア機能を保っているので、肌を酸性に戻してあげましょう。
酸性の化粧水やクリームを使ってあげるといいでしょう。
まとめ
冬に空気が乾燥するしくみ、冬に起きる肌のバリア機能の低下の理由、冬の乾燥対策スキンケアを改めてみてきました。
地球温暖化で冬も暖かくなっていっているのかと思えば、最強寒波がきたり、と環境の変化も複雑になっているような印象です。
普段から肌のバリア機能(すなわち免疫力)を高めておけば、環境の変化にも対応できるスーパースキンでいることができます。
健康肌は1日にして成らず、です。
コツコツと地道に丁寧なケアをしてあげることで、寒さに限らず環境の変化に負けない肌を作っていけますので、焦らずできることをやってあげてください。