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石けん洗顔や石けんシャンプーは必ず酸性ケアとセットで 〜石けんの性質、泡立ち対策や酸性洗剤について

身体や環境にも安全でやさしい洗顔&洗髪法として推奨される石けんによるクリーニング。

でも石けんシャンプーで髪がきしんだり、石けん洗顔だと泡立ちが少なくよく洗えた感じがしない、など、いいとはわかっていても続けられない、という声を聞きます。

実はこれには石けんは「アルカリ性」だという性質が鍵となり、それに応じた適切な対策やケアが欠かせないからです。

今回は髪や肌の健康を支える石けん洗浄のしくみと、それを上手に活かすための秘訣をまとめてみました。

界面活性剤とは

シャンプーや洗顔をするのは主に髪や肌の汚れを取って清潔に保つためですが、洗浄力や泡立ちの良さだけでケア用品を選ぶと、肌本来が持つ健康を損なうことも。そのキーワードとなるのが「界面活性剤」。

界面活性剤」とは水、油それぞれとなじみやすい性質を持ち、界面(物質の境界面)に作用して混ざりにくい物同士を混ぜ合う力を持つ物質のこと。洗剤や化粧品などに使われて汚れ落としに力を発揮しますが、天然、合成の成分にかかわらず、危険な物と安全な物とがあります。

危険な界面活性剤(合成界面活性剤)

洗浄力や乳化力(水と油を混ぜ合う力)を保ったまま皮膚に長く残り、皮脂を水に流失させて皮脂や角質層のバリア機能を失わせるもの。例:洗浄力が強い合成界面活性剤、 洗い流せるメイク落とし、など。

安全な界面活性剤(石けん)

皮膚上で洗浄力や乳化力が消えて、皮脂を水に流失させずに皮脂や角質層のバリア機能を保つもの。例:石けん。

肌に優しい石けん洗浄

石けんは製造方法から見れば「合成界面活性剤」なのですが、安全性から一般的には除外されています。石けんは洗顔や洗髪のあと、肌の酸分によって中和され、洗浄力(界面活性)を失い無毒化するからです。

一方、石けん以外の人工的に作られた界面活性剤=合成界面活性剤は無毒化できないため、合成界面活性剤が入った化粧品を使い続けると、肌の表面の皮脂が根こそぎ奪われ、肌の中に浸透して角質細胞間脂質や水分を流失させて乾燥肌を招くことも。

つまり、皮膚への安全性を考えたら、石けん洗顔&洗髪が一番肌に優しく負担が少ないクリーニング方法なのです。

石けんはアルカリ性

健康な髪はキューティクルがしっかり閉じた弱酸性、肌も普段は酸性で、酸性の性質がバリア機能となって免疫力を保つことができています。一方、石けんはアルカリ性。そのため石けんで洗髪、洗顔した後は髪や肌がアルカリに傾いてしまいます。髪にきしみやごわつきが見られるのは、アルカリの作用でキューティクルが開いてしまったから。

アルカリ性+?=中和

「髪に安全でも、きしみやごわつきは困る!」というあなたに思い出してほしいのが、以前化学の時間に習った中和。シャンプーでアルカリに傾いた髪の毛、洗顔でアルカリに傾いた肌、それらを中和させるには何を使えばいいでしょう? 

そのとおり、「酸」です。

石けんはアルカリ性なので、その後は酸性ケアが必要になります。石けん洗顔の後は酸性の化粧水石けんシャンプーの後は酸性リンスで肌表面を酸性に戻してあげることが重要です。酸性リンスの代わりに薄めたお酢などで酸度の補充をするのもいいでしょう。中和時間を少し長くすると、きしみが弱まりブラッシングしやすくなりますよ。

酸性洗剤に注意!

ところで、これまでお話してきた「石けん」は、原材料表記欄に「石けん素地」「純石けん分(脂肪酸ナトリウム)」「純石けん分(脂肪酸カリウム)」と書いてあるものに限ります。最近は酸性ボディーソープ、アミノ酸系シャンプーなど洗剤自体を酸性にして販売しているものがありますが、本来アルカリ性である石けんをなぜ酸性と言えるのでしょう? そう、合成界面活性剤で酸性に変えているから。結果、洗剤力が強すぎて肌には負担が大きいものになっているので注意しましょう。

石けん洗顔で泡立ちが悪い時の対策

ちなみに石けん洗顔で泡立ちが少なく感じられる、という悩みの原因はいくつか考えられますが、多くの場合が石けんの量が足りないケースです。水量に対してある程度の石けんがないと泡立ちせず、洗顔の最中に泡が無くなるのは皮脂の酸と中和が起きている、すなわち汚れが落ちているからです。洗顔中に泡がなくなってしまい、まだ汚れが洗いきれていないような感じがする場合は石けん量が少ないことが考えられます。石けんの量を増やして、泡立てネットなどを使ってしっかり泡立ててから洗顔してみてください。

ただし皮脂の洗い過ぎにはくれぐれも注意していただきたいので、油汚れはまずコールドクリームなどで拭き落とすことを推奨しています。メイクなどの油性のものも石けん洗顔だけで落とそうとすることは、かえって肌にダメージを与える原因となりかねないのでくれぐれもご注意くださいね。

日本ではあまりありませんが、海外で水道水が硬質な水質の地域にいる方も石けんの泡立ちの悪さを感じるかもしれません。石けんが水中のミネラル成分と反応してしまうためなので、最初から少し多めの石けんを使って対策を取ってみてください。

まとめ

皮膚の安全性を考えた洗顔&洗髪法として石けん洗浄と酸性ケアの重要性についてお話しました。石けんを上手に使い、人が生まれながらに持つ皮膚のバリア機能を大切にしながら、清潔で心地良い健康美肌ライフを生きる方法の一つとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

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今では美容基本の一つとなっている「酸性化粧水」を初めて提唱したのは東京美容科学研究所の創業者。酸性化粧水の元祖である私たちは合成界面活性剤不使用の商品にもこだわっています。

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