基礎講座2:肌のしくみ
ここでは、「肌(皮膚)のしくみ」についてお話ししたいと思います。
私たち人間は、体重の約80%が水分という状態で生まれてきます。
体の中の水分は、年とともに減っていきます。乳児で約70%、幼児で約65%。大人になると、男性で約60%、女性で55%。さらに高齢者になると約50%。[1] 赤ちゃんのときにくらべて、大幅に減ってはいますが、それでも半分以上は水分です。
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皮膚って何?〜皮膚は「水風船」!?
たとえば、体重50キロの成人女性であれば、27.5キロが水分ということになります。人間の体は、数十キロもの水分を体の中に抱えながら(蓄えながら)生活できる、水を溜めた袋みたいな構造をしています。この貴重な水分が外に流れ出ないようにがんばっているのが「皮膚」なのです。
皮膚は人間最大の臓器です
皮膚は、体重の約8%を占める、人体の中でもっとも大きな臓器です。
人間の臓器は最大のものが2つあって、その1つは重量で最大の皮膚です。おおよそ体重の8%。体重50キロの成人女性であれば、皮膚の重さは約4キロになります。
ちなみに、もう一つの最大の臓器は、表面積が最大の粘膜です。体の外側の『よろいかぶと』になる皮膚と、内側から『栄養を吸収してパワーサプライ』となる粘膜、この2つで私たちの体は形作られています。
皮膚は「表皮(ひょうひ)」と「真皮(しんぴ)」の二重構造になっています。
いわゆる「皮膚」と呼ぶのは、表皮、真皮、皮下組織の部分。イラストで見るとかなり厚みがありそうに見えます。しかし実際は、場所(部位)によって違いはありますが、表皮と真皮を合わせても 0.6~2mm 程度しかありません(皮下組織の厚さは人によって変化します)。
たった2ミリの厚さしかない袋の中に、27.5キロの水分をはじめ、骨や臓器など合計46キロのものが入っているとイメージしてみてください。こんなに薄い皮膚が、46キロもの内容物が外にボロボロとこぼれないように、大事に抱え込んでいるなんて、皮膚が愛おしくなってきませんか?
皮膚の役割〜肌細胞が死んで丈夫な皮になる
表皮と真皮を合わせて「皮膚」と言いますが、いわゆる私たちが「お肌」と呼んでいるのは「表皮」なので、表皮についてもう少しくわしく見ていきましょう。
表皮は、「皮脂膜」、「角質層」、それから「顆粒層」etcあり、一番下の部分に「基底膜」をもっています。
表皮のすぐ下は真皮なので、図では、表皮と真皮の境目に「基底層」があります。
「基底層」は簡単に言えば、「お肌の工場」です。たった1列しかありませんが、私たちが毎日すべすべと触れているお肌(角層)は、すべてこの基底層の細胞から生み出されています。
「基底層」にある基底細胞は、お肌の工場なので、毎日新しい『お肌細胞』を作ります。作られたお肌細胞は正確には「角化細胞」と言われますが、この「角化」というのは、細胞が時間の経過とともに細胞死するという意味です。
新しくつくられた『お肌細胞』は、基底細胞の頭の上に産み落とされます。お肌の工場は、月に1個くらいの生産ペースで『お肌細胞』を作りますが、これがいわゆる「ターンオーバー」といわれるものです。ゆっくりした生産ペースですが、次々に生産され続けるので、ベルトコンベヤーのように、『お肌細胞』は徐々にお肌の表面、つまり私たちが毎日触れている表面側に移動していきます。
お肌が生まれてから、皮膚の表面に出てくるまで、およそ1、2カ月ほどかかります。これだけ、時間が経過するうちに『お肌細胞』、正式名「角化細胞」の角化は進み、お肌細胞は細胞死を迎えて、ちょうど皮膚の表面に達したときには、細胞は死んだ状態になっています。
『お肌細胞』が死んだ状態になることを、「角化」といいます。『お肌細胞』が死んでしまうことは正常なことで、むしろしっかり死ぬことによって頑丈な壁のような丈夫な皮になってくれます。
つまり、健康なお肌=美肌はお肌細胞がしっかり死んで、丈夫なお肌であるということなのです。
肌の際表面のお肌は、酷使されてすり減ります。丈夫な皮もそのまま放置してしまえば、古い皮ベルトのようにボロボロにもろくなり、弱くなります。
だから、ときどき新しい丈夫な皮に取り替えなければいけません。
これが、垢です。ターンオーバーの最後でお肌細胞は垢となって剥がれ落ちて、その一生を終えるのです。
『お肌細胞』が死んでしまうことは正常で、むしろしっかり死ぬことによって頑丈な壁のような丈夫な皮になること、
健康なお肌= 美しい肌はお肌細胞がしっかり死んで、丈夫なお肌であるということ
この2つはすべての基本です。ぜひ覚えてください。
参考文献
[1] 大塚製薬「身体と水分」