日焼け止め成分の違い「紫外線散乱剤」vs「紫外線吸収剤」
毎日使っている方も増えている「日焼け止め」製品ですが、成分により紫外線の防御方法、肌や環境に与える影響や安全性も大きく異なることをやさしく説明します。
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散乱剤 vs 吸収剤
日焼け止め製品で使われる紫外線防止剤には2種類あります。
「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」です。
それぞれ紫外線の肌への浸透を防ぐ仕組みが違います。
「紫外線散乱剤」
その名の通り、紫外線を物理的に跳ね返し日焼けを防ぎます。日傘をさしたり、シャツを着て紫外線から肌を守るのと同じアイディアです。
「紫外線吸収剤」
紫外線を吸収し化学反応を起こさせ、日焼けを防ぎます。化学反応により、肌で吸収された紫外線は熱エネルギーなどに変換し放出させたりします。
成分とその毒性の違い
「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」にはそれぞれ違う成分が属し、性質も異なります。
紫外線散乱剤
散乱剤に使われる成分には酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、などが含まれ、これらの成分には毒性が見られないとされています。
- 酸化亜鉛ー収れん作用があり、皮膚疾患の万能薬に使われたりその他の医薬品や化粧品でも使われる[2]
- 酸化チタンー人体への影響が少ないとされ、食品や医薬品に顔料・着色料として使われる
- 酸化鉄ー非毒性と耐湿性から食品着色料や顔料として使われる
紫外線吸収剤
紫外線吸収剤として使われる成分には注意が必要です。
代表的な成分としてメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが挙げられますが、”そのほとんどがフェノール系化合物かフェノールに類似するベンゼン系化合物で、
酸化防止剤や殺菌防腐剤と共通する毒物の仲間
です。元々、
紫外線吸収剤は印刷用インクの退色防止剤だった化合物で、発がん性や環境ホルモンなどの問題がある[1]
と言われています。
このような安全性の問題にも関わらず、紫外線吸収剤が使われた日焼け止め商品は、
- 「透明性が高くて白浮きしない」
- 「塗り心地が良くて伸びがいい」
- 「紫外線カットの力が強い」
などの理由でよく使用されているのが実情です。
加えて知っておきたいのは、これらの紫外線吸収剤成分はその毒性上、2001年3月までは「成分使用量は10%以下にとどめなくてはいけない」という薬事法による規制がありました。しかし薬事法改正で全成分表示制度を導入後、(それまで制定されていた化粧品品質基準や化粧品原料基準が廃止され)同規制は緩和され、パラメトキシケイヒ酸エチルヘキシルにいたっては改正前の倍の20%まで緩和されている[3]のが現状です。
消費者自身が自己責任でこれらの薬物から身を守らなくてはいけなくなっているような状況です。海中植物やサンゴ礁などへ与える悪影響も確認され、昨今海外では吸収剤成分の使用を禁止する国も増えています。
賢い選択
〜紫外線散乱剤を選ぶ〜
日焼け止めで使われる紫外線散乱剤と紫外線吸収剤は、紫外線防止の仕組みだけではなく、それぞれの成分と毒性にも違いがあることをお話ししました。より長くお肌の健康美を保つための賢い選択をする上で、日焼け止めを選ぶ際にこの知識があなたのお役に立ちますように。
成分表示を確認します。酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄が散乱剤に該当しますが、それら以外のカタカナ表記の長い成分名には注意が必要です。製品の特徴として、ジェルなどのように透明性が高いものや紫外線カット指数が高い(SPF50以上)、伸びがいいものには吸収剤が利用されている可能性が高いです。
参考文献:
[1]「賢い化粧品の選び方」著者:東京美容科学研究所所長 小澤貴子〜河出書房新社出版
[2] 高知工科大学総合研究所マテリアルデザインセンター:酸化亜鉛物語
[3] 厚生省「化粧品基準」
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