殺菌剤や手洗いによる手荒れ対策 ー 意外な成分が手のシールドに
感染症の流行で殺菌グッズが生活必需品のようになり、手の消毒や手洗いの頻度が上がりました。
その結果、手荒れで悩む声をよく聞きます。
殺菌といえば、アルコールや漂白剤が有名ですが、実は合成界面活性剤、とくにアミノ酸系や逆性石けんといわれるような洗剤にも殺菌効果が高いものがたくさん存在しています。
今回は殺菌剤の種類や仕組み、注意点を知り、肌を守りながら賢く除菌剤と付き合う方法について説明します。
Table of Contents
殺菌剤①:アルコールの殺菌力
アルコールがなぜ殺菌できるのか。
そのメカニズムについては、実はまだ解明されていない点も多いのですが、微生物やウイルスの細胞膜や被膜に穴をあけるので、殺菌効果が発揮されことがわかっています。
その殺菌効果は、アルコールの濃度と関係することも実験で確認されています。
アルコールは
40%程度から殺菌効果を示し始め、80%付近で殺菌効果が高くなり
逆にそれ以上高くなると殺菌効果がぐっと下がってしまいます。
基本的には、6、70%~80%の濃度のアルコールに殺菌効果があります。
アルコールの消毒液を購入するときには、濃度の確認が必要です。
殺菌剤②:合成界面活性剤の殺菌力 ー 合成界面活性剤が味方に!?
合成界面活性剤も、人間の皮膚のバリア機能を守るうえでは天敵となりますが、殺菌効果という面では威力を発揮します。
合成界面活性剤自体に細胞膜を壊す力があり、微生物やウイルスの細胞膜や被膜自体を破壊し、死に追いやることができるからです。
合成界面活性剤は、いわゆる台所洗剤や除菌ができるハンドソープなどにも含まれることの多い、強力な(肌の健康には強すぎる)洗浄剤です。水に油を強力に溶かすことができるものです。
殺菌剤としての合成界面活性剤を使用時の注意点
アルコールにはない、合成界面活性剤の乳化力(強力な洗浄力)は、油と水の独立した多層構造でできている肌のセラミドの配列を破壊してしまうため、皮膚のバリア機能を壊す原因なのです。
皮膚のバリア機能が壊れれば、外から体にとって害となる異物が体内に侵入しやすくなります。ウイルスもその1つです。
ほかにも、乾燥肌や敏感肌、アトピー肌や弱肌の原因になったり、また様々な異物混入によりシミがつくられやすい肌になってしまいます。
ウイルス対策はしなければなりませんが、その一方で過度な除菌を素手で行えば、皮膚自体のバリア機能も弱まってしまうことにも、注意が必要です。
体の免疫機能のうちの半分は体内の粘膜部分にありますが、残りの半分は実は皮膚の部分で行われているのです。
皮膚のバリア機能が弱まれば、それもまた、さまざまな感染リスクにつながります。
肌を保護するクリームを活用する
そこで手を洗いすぎてバリア機能を弱めてしまう前に、クリームなどでバリアを補強することが重要になります。
以下のようなクリームが肌を殺菌剤から守ってくれます:
- 合成界面活性剤を含まないもの
- 油が主成分の油っぽい、べたべたした感触のもの
- 合成ポリマーが含まれている場合は20%以下のもの
- 自分専用のクリームを使う
基本どんなクリームも肌を保護したり保湿を目的として作られていますが、成分などにより肌に与える影響が異なります。
気をつけなくてはいけない成分は「合成界面活性剤」です。上でも説明しましたが合成界面活性剤が皮膚のバリア機能を壊す成分となるからです。(クリームを大量生産する際に、水と油成分を効率良く混ぜる目的で合成界面活性剤がよく使われます。)
そして油成分が多く配合されたクリームを選びましょう。手につけた時の感触がベタベタするものです。感触がサラサラしたものは合成界面活性剤と共に水分が多く含まれている傾向があります。
ここで意外な事実かもしれませんが、普段はなるべく避けたい成分である「合成ポリマー」のような成分が含まれていると、既に弱った皮膚のバリア機能を一時的に補強をしてくれます。
過度な除菌などで荒れてしまった場合には皮膚自体がバリア層を作りにくい状態になっていますから、20%程度まで配合されていても良いでしょう。多すぎると、やはりバリア層を作るのに欠かせない皮膚常在菌が育ちにくくなるので気をつけたい成分ではあります。製品パッケージからは判断が難しいので各メーカーに問い合わせてみてください。
また、感染のリスク軽減のために、クリームも使いまわしをせずに自分専用のものとしてお使いください。
まとめ
賢く除菌剤を生活に取り入れる上で気を付けていただきたいのは、下記の3つです。
- アルコールは殺菌効果がある濃度(できれば80%程度のもの)なのかを確認する
- 合成界面活性剤(洗剤)は、感染予防の役割である、皮膚のバリア機能を壊す可能性があることを知っておく。
- クリームを活用し、手荒れがひどいなど痛めた肌には、皮膚のバリア機能を保護するクリームを使う
感染症の医師が某ラジオ番組の最後に強調されていたのは、強すぎる洗浄剤(洗剤、合成界面活性剤)の問題と、皮膚のバリア機能の大切さでした。
手洗いやアルコール消毒の頻度が高くなっていて、バリア機能層の1つの皮脂を失いやすい状態です。
さまざまな感染リスクを防ぐ面からも、手を洗った後には肌のバリア機能にも気を使ってあげてくださいね。
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*ショップメルマガ2020年5月号を一部編集して掲載